『ドラミちゃん ロボット初恋物語』

作:あっ、100ゲットしてた 氏





  のび太の通う学校。チャイムが鳴り、放課後であることを伝えている。
のび太「し〜ずかちゃん! 今日一緒にあそばな〜い?」
しずか「ごめんなさい、のび太さん。今日は出来杉さんと一緒にお勉強を
 することになってるの」
のび太「ええ〜、そんな〜」
  出来杉が会話に入ってくる。
出来杉「よかったらのび太くんも一緒に来ないかい?」
のび太「・・・う、うん」
  下校中。しずかと出来杉が楽しそうに話している後ろから、
  一人つまらなそうについていくのび太。
しずか「すごいのね、出来杉さんて」
出来杉「いやぁ、そんなことないよ。のび太くんはアイザック・アシモフの
 『我はロボット』のロボット三原則をどう思うかな?」
のび太「なにそれ? 何の漫画?」
  きょとんとするのび太。急に笑い出すしずかと出来杉。
しずか「いやねぇ、のび太さんたら」
出来杉「のび太くんは冗談が上手だね」
  のび太、顔を真っ赤にして怒り出す。
のび太「う〜・・・ふんだ!」
  のび太、走り去ってしまう。
しずか「あっ、のび太さん!」
出来杉「のび太くん! ・・・どうしだんろう?」
しずか「さあ・・・」
  首をかしげるしずかと出来杉。

  のび太の部屋。駆け込んできたのび太がドラえもんに泣きつく。
ドラえもん「で、しずかちゃんと出来杉くんが仲良くしているのが、
 悔しいから二人の仲を引き裂くような道具を出して欲しいのかい?」
  のび太の顔がパァっと明るくなる。
のび太「そうだよ、ドラえもん。しずかちゃんは将来僕のお嫁さんに
 なるはずなのに出来杉とばっかり仲良くしてさ。ね、だから道具出して〜」
ドラえもん「この卑怯者! 自分でなにもしてないくせに、友達を
 妬んで道具で二人の仲を引き裂こうなんて、何を考えているんだ!」
のび太「なんだよ、怒鳴ることないじゃないか!」
ドラえもん「道具で人の心を操って自分の気持ちを押し付けるなんて
 最低だ! 人が人を想う気持ちをなんだと思っているんだ!
 そんな考えじゃ、本当にしずかちゃんに愛想をつかされちゃうぞ!」
のび太「なんだい、なんだい! 奇麗事ばっかり並べてさ!
 仲良くしている二人を見るたびに僕がどんな気持ちになるかなんて、
 心を持ってないロボットのドラえもんにはわかるもんか!」
ドラえもん「何を言うんだ! ロボットにだって心はあるんだ!
 のび太くんの嫉妬がどんなに醜いかってこともね!」
のび太「何を!」
ドラえもん「なんだよ!」
  にらみ合う二人。
二人「ふんだっ!」
のび太「ドラえもんに相談したのが間違いだったよ! 所詮、ロボットが
 心なんて持ってるはずないんだ! あるのは冷たいコンピューターの計算だけさ」
ドラえもん「のび太くんがそんなヤツだとは思わなかったよ。ロボットに
 だって、立派な心があって嬉しいことも哀しいこともあるんだ。
 僕はもう未来に帰られせてもらうよ! こんなロボットをただの機械と
 しか思えないような心の冷たい人間に使われるなんて真っ平だ!」
のび太「勝手にすれば! 怒っていたって騙されるもんか!
 コンピューターが怒ってるように見せてるだけじゃないか」
  ドラえもん、机の引き出しを開けてタイムマシンに乗り込む。
ドラえもん「この薄情者!」
  ドラえもんの捨て台詞とともに、乱暴に机の引き出しが閉められる。

  部屋でふてくされているのび太。だんだん後悔の念が強くなってくる。
  ガリガリ、と窓を引っかく音が聞こえる。そこには一匹の猫がいる。
のび太「やあ、ミーちゃんじゃないか。ドラえもんならいないよ」
ミーちゃん「みゃ〜」
  ミーちゃんが屋根をつたって去っていく。
のび太「ロボットが誰かを好きになる気持ちって、本物なのかな?」
ドラミ「本当よ。ロボットだって恋をするのよ」
  声がしたかと思うと、机の引き出しが開いてドラミちゃんが飛び出してくる。
のび太「ど、ドラミちゃん!」
ドラミ「お久しぶり、のび太さん」
のび太「どうしたんだい? 急にやってくるなんて」
ドラミ「のび太さん。お兄ちゃんと喧嘩したんですって? お兄ちゃん、だいぶ落ち込んでいたわよ。
 「ずっと親友だと思っていたのに、あんなこといわれるなんて」って泣いてるわ」
のび太「あれは・・・」
ドラミ「だから、二人に仲直りしてもらうために来たの。
 のび太さんにロボットの心のことをもっと知ってもらってね」
のび太「ロボットの心のこと」
ドラミ「そうよ。さあ、タイムマシンにのって、のび太さん」
のび太「タイムマシンで?」
ドラミ「そうよ、ここからほんのちょっとだけ未来。世界で一番最初に
 心を持ったロボットに会いにいきましょう。私達の大先輩でもある、
 HMX−12・マルチさんに」




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